子宮頸がんの基礎知識

※これは一般的な情報です。患者さん個々の病状や治療法は異なりますので、不明な点は必ず主治医にご確認ください。

子宮頸がんは、女性特有のがんの中でも予防や早期発見がしやすく、若い世代の女性が罹患することが多いがんの一つです。ここでは、子宮頸がんの基本的な情報について解説します。

子宮頸がんとは

子宮頸がんは、子宮の入り口部分である「子宮頸部」にできるがんです。がんが子宮頸部の表面にとどまっている「上皮内がん」や、がんになる手前の状態である「異形成」、そして組織の奥深くまで広がった「浸潤がん」に分けられます。

子宮頸がんの原因

子宮頸がんの主な原因は、「ヒトパピローマウイルス(HPV)」というウイルスの持続的な感染であることがわかっています。

HPVは非常にありふれたウイルスで、主に性交渉によって感染します。感染しても、ほとんどの場合は体の免疫力によって自然に排除されます。しかし、ウイルスが排除されずに長期間感染し続けると、数年から数十年かけて、一部ががん化することがあります。

子宮頸がんの初期症状

早期の子宮頸がんや前がん病変の段階では、自覚症状はほとんどありません。

がんが進行すると、以下のような症状が現れることがあります。

  • 性交渉の際の出血
  • 月経以外の不正出血
  • おりものの異常(量が増える、色が濃くなる、においが強くなるなど)
  • 腰や下腹部の痛み

これらの症状は他の病気でも見られるため、気になることがあれば早めに婦人科を受診することが大切です。

子宮頸がんの罹患率と生存率

国立がん研究センターのがん統計2023年によると、2019年に新たに子宮頸がんと診断される人は1万879人、生涯のうちに子宮頸がんに罹患するリスクは2.5%でした。20代後半から徐々に増え始め、40代をピークにその後は減少していきますが、60代後半に患者数が再び増える傾向がありました。

全てのがん(2009年~2011年診断)の5年相対生存率は64.1%ですが、子宮頸がんの5年相対生存率は76.5%で、全がんの平均より高くなっています。2009年に子宮頸がんと診断された人の10年相対生存率は、70.5%でした。

進行度による5年相対生存率(2019年診断)は、以下の通りです。

  • 限局:95.7%
  • 領域:66.8%
  • 遠隔:22.5%

限局:原発臓器に限局している
領域:所属リンパ節転移(原発臓器の所属リンパ節への転移を伴うが、隣接臓器への浸潤なし)または隣接臓器浸潤(隣接する臓器に直接浸潤しているが、遠隔転移なし)
遠隔:遠隔臓器、遠隔リンパ節などに転移・浸潤あり

※各がんのがん罹患率、生存率の最新情報は、がん情報サービス「がんの統計」をご参照ください。

子宮頸がんの検診と予防

子宮頸がんは、原因がはっきりしているため、予防と早期発見が可能ながんです。

予防(一次予防)

HPVワクチンの接種が最も有効な予防法です。HPVの感染を未然に防ぐことで、子宮頸がんの発生を大幅に減らすことができます。

検診による早期発見(二次予防)

20歳以上の女性は、2年に1回の子宮頸がん検診が推奨されています。検診では、「細胞診」という子宮頸部の細胞をこすり取って調べる簡単な検査が行われます。痛みはほとんどなく、短時間で終わります。

ワクチンと検診を組み合わせることで、子宮頸がんは予防可能ながんであると言われています。

参考サイト:がん情報サービス.冊子「がんの統計」2023

【重要事項】
・本情報は一般的な概要であり、個々の患者さんの状態によって最適な治療法は異なります。
・治療方針は、必ず専門の医師と最新の診療ガイドラインに基づいて決定されます。ご不明な点は、主治医にご確認ください。