相談:トリプルネガティブ乳がん、術後補助化学療法の副作用と受けなかった場合の再発リスクは

化学療法 治療選択

70代で、トリプルネガティブの乳がんのステージ2aと診断されました。術前の抗がん剤治療を終え、数週間後に部分切除術が行われます。細胞診検査の結果、術後の抗がん剤治療が予定されています。再発や転移などを抑制するために抗がん剤治療は必要と聞いていますが、これまで抗がん剤の副反応で日常生活がつらかったので、これ以上の抗がん剤治療を受けたくないです。抗がん剤治療を開始するにあたり、日常生活に不快が生じるような副反応の主なもの、しなかった場合の再発リスクについて教えてください。

(本人、女性)

回答:乳がんの術後補助化学療法は、再発リスクに応じて検討

乳がんの治療に関する情報を、日本乳癌学会の「患者さんのための乳癌診療ガイドライン」から、副作用に関する情報を、国立がん研究センター中央病院の「治療の手引き」から、それぞれポイントをご案内します。

乳がんに対する術後補助化学療法の目的
・術後に化学療法を行う目的は、微小転移を根絶させることです
・画像検査でみつからないような小さな転移を微小転移といい、微小転移は数か月~数年かけて再発する可能性があります
・非浸潤がんのように乳がんが乳管内にとどまっている場合は、ほとんどが手術や放射線療法などの局所治療だけで治癒します
・浸潤がんの場合は、発見された時点で血液やリンパの流れに乗って他の場所に転移している可能性があります

乳がんの術後の再発リスクと補助化学療法のメリット
・再発予防の治療は、「再発する人」と「再発しない人」を特定して、再発する人にだけ行うのが理想的です
・どの人が再発するかしないかを正確に予測することは非常に難しいため、「再発の危険性の高い人、中程度の人、低い人」に区別するのが限界です
・再発のリスクが高く、抗がん剤による再発予防効果が高いと判断される場合は、強く抗がん薬治療が推奨されています
・再発のリスクが低く、抗がん剤による再発予防効果が低いと判断される場合は、化学療法は推奨されていません
・再発リスク(80%)が高い人が化学療法を行った場合、再発リスクが約30%低下する可能性があります
・再発リスク(10%未満)が低い人が化学療法を行った場合、再発リスクは約3%低下します
・同じ化学療法を行っても、再発リスクが低い人では治療のメリットは小さくなりますが、再発リスクが高い人はメリットが大きくなります

トリプルネガティブ乳がんの化学療法
・トリプルネガティブ乳がんに対しては化学療法が行われます
・化学療法は、再発予防を目的に術前や術後に行われます
・術後化学療法の標準治療とされているのは、AC療法やCEF療法です
・AC療法は、ドキソルビシン(アドリアマイシン)、シクロホスファミドを併用する治療です
・CEF療法は、シクロホスファミド、エピルビシン、フルオロウラシルを併用する治療です

AC療法の主な副作用
・脱毛
・吐き気・嘔吐
・白血球減少
・口内炎
・皮膚や爪への影響
・卵巣への影響
・注射部位における皮膚障害

CEF療法の主な副作用
・脱毛
・吐き気・嘔吐
・白血球減少
・口内炎
・皮膚や爪への影響
・卵巣への影響
・注射部位における皮膚障害・血管炎

化学療法による副作用の出方や程度には個人差があります。...

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