キイトルーダ早期承認制度の対象に がん種を問わずマイクロサテライト不安定性がんに対する適応

2018/06/29

文:がん+編集部

 キイトルーダが、がん種に関わらず高頻度のマイクロサテライト不安定性(MSI-High)がんに対して優先審査の対象になったことが発表されました。MSI-Highは、大腸がん、胃がん、膵臓がんなどの消化器系のがん、子宮内膜がんでよくみられ、頻度は低いものの、乳がん、前立腺がん、膀胱がん、甲状腺がんなどでもみられます。

キイトルーダの早期承認に期待

 MSD株式会社は6月27日、免疫チェックポイント阻害剤ペムブロリズマブ(製品名:キイトルーダ)が厚生労働省より6月22日付で「医薬品の条件付き早期承認制度」の適用を通知され、優先審査の対象となったことを発表しました。ペムブロリズマブは、3月30日に局所進行性または転移性の高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-High)がんの適応で製造販売承認事項一部変更承認申請を行っています。

 医薬品の条件付き早期承認制度は、重篤で有効な治療方法が少ない疾患の医薬品に対して、患者数が少ないなどの理由で検証的臨床試験の実施が困難であったり長い期間が必要だったりする場合に適用が検討されるものです。この制度が適用された医薬品は、優先審査の対象となります。

 細胞が分裂するとき、DNAも複製されますが、複製ミスが発生することがあり、通常は修復機構が働き、複製ミスを修復しています。この修復機構の機能が低下することで、複製ミスが繰り返され、さまざまな遺伝子異常が重なり、細胞ががん化することがあります。DNAの塩基配列中に同じ構造をもつ部分が繰り返し並んでいる部分があります。この部分をマイクロサテライトといい、繰り返す回数の間違いが起きやすくなっています。がん化した細胞と正常な細胞では、反復回数に違いがあるといわれ、これをマイクロサテライト不安定性(MSI)といいます。

 MSI-Highを示す腫瘍は、大腸がん胃がん膵臓がんなどの消化器系のがん、子宮内膜がんでよくみられます。また頻度は低いものの、乳がん前立腺がん膀胱がん、甲状腺がんなどでもみられます。転移性大腸がんでは、患者さんの約3~5%にMSI-Highを示す腫瘍がみられます。

 特定の臓器に対してではなく、さまざまながんに共通するMSIに対する治療薬として、ペムブロリズマブの早期承認が期待されます。