東大 がん遺伝子パネル検査を先進医療で開始

文:がん+編集部

 標準治療が受けられない、または終了が見込まれるがん患者さんを対象としたがん遺伝子パネル検査が先進医療として行われます。遺伝子変異などを調べることがどの程度有用かを調べるそうです。

従来の遺伝子パネル検査より幅広い遺伝子を対象

  東大病院は10月4日、がん遺伝子パネル検査「Todai OncoPanel」の臨床性能試験を先進医療として開始することを発表しました。先進医療Bとして行い、将来的な薬事承認、保険適用を目指すとしています。

 がんに関わる多くの遺伝子異常を1回の検査で数多くの遺伝子を網羅的に解析することができるがん遺伝子パネル検査は、近年相次いで開発されています。「Todai OncoPanel」は、東大が独自に開発したがん遺伝子パネル検査で、DNAだけでなくRNAも解析することができ、解析対象が極めて広いことが特徴で、遺伝子変異、増幅を検出するDNAパネル、融合遺伝子を検出するRNAパネルなどそれぞれ450以上の遺伝子を対象としています。

 遺伝子変異や増幅、癒合遺伝子を網羅的に調べることは、がんの治療選択に役立つ情報を得ることができ、プレシジョン・メディシン(精密医療)によるがんの個別化医療につながります。標準治療が受けられない、または標準治療の終了が見込まれる患者さんを対象として、「Todai OncoPanel」を使った遺伝子パネル検査がどの程度有用であるかを検証するそうです。

「Todai OncoPanel」の臨床性能試験の概要

今回の研究概要は以下の通りです。

研究対象(主な適格基準)
(1) 病理学的診断によって、悪性腫瘍であることが診断されている(癌腫、肉腫いずれも含むが血液腫瘍は除く)。
(2) 治癒切除不能または再発により、標準治療による根治が困難と考えられる。
(3) 標準治療がない、標準治療が終了している、もしくは終了が見込まれる。
(4) 全身状態が良好である(Performance Statusが0または1)。

主要評価項目
治療介入への判断根拠または病理組織学的診断の補助となり得る遺伝子変異(Hypermutatorを含む)が検出される、もしくは、病理学的診断の補助となる遺伝子変異(融合遺伝子等)が検出される患者頻度

副次評価項目
(1) 対応する治療薬が投与された頻度
(2) 本検査により治療方針が選択された頻度
(3) 既承認体外診断薬との一致率
(4) 遺伝カウンセリングを要する生殖細胞系列の変異

目標解析症例数
200

研究期間
1年6か月

検査の手順
(1) 本研究について説明を行い、同意を得ます。
(2) 腫瘍組織を準備します。
(3) 腫瘍との比較を行うために血液を採取します。
(4) DNAとRNAを抽出し、Todai OncoPanelを用いた遺伝子解析を行います。
(5) 得られた結果をデータベースに照合します。
(6) 複数の領域における専門家から構成されるエキスパートパネルにおいて、結果の意義づけが行われます。
(7) レポートを担当医に送ります。
(8) 担当医が結果を説明します。

解析
遺伝子解析は、東京大学が株式会社理研ジェネシスに委託して行われます。得られた結果の分析は、東京大学が株式会社テンクーに委託して行われ、作成されたレポートはエキスパートパネルにおいて検討された後に、最終レポートが作成されます。

費用
本試験は、先進医療Bとして行われ、ゲノム解析に係る検体の作成、遺伝子解析に関わる費用、および同手技に関連する人件費は患者の自己負担となり、その費用は915,000円になります。その他の入院あるいは外来診療に係る費用は保険診療です。