基礎・症状

末梢性T細胞リンパ腫とは

 末梢性T細胞リンパ腫は、悪性リンパ腫のうち非ホジキンリンパ腫に分類されます。その中で、さらに中悪性度の成熟T/NK細胞腫瘍に分類されるリンパ腫の一種です。発症頻度は、全ての悪性リンパ腫の約7%(日本では10%)とされています。WHO分類では、末梢性T細胞リンパ腫とNK細胞腫瘍は、約30種類の病型がありますが、「非特定型末梢性T細胞リンパ腫」「血管免疫芽球性T細胞リンパ腫」「ALK陽性未分化大細胞リンパ腫」「ALK陰性未分化大細胞リンパ腫」の4つが比較的頻度の高い病型です。

末梢性T細胞リンパ腫の特徴と症状

 末梢性T細胞リンパ腫の主な発生部位はリンパ節ですが、リンパ節以外の皮膚や消化管、臓器に発生することもあります。T細胞は、リンパ管を通って全身を巡っています。成熟したT細胞ががん化する末梢性T細胞リンパ腫では、体のさまざまな部位にかたまりができる可能性があるのです。

 主な症状は、首や足のつけ根、腋(わき)の下などのリンパ節の腫れ、かゆみのない発疹などの皮膚症状、肝臓や脾臓が腫れることで起こる圧迫感や痛みなどです。症状は、発生した部位によりさまざまです。全身症状として、原因不明の体重減少、高熱、就寝中にかく大量の寝汗などが起こることもあります。また、T細胞が正常に働かなくなるため、免疫力が落ちて感染症にかかりやすくなります。

病型による特徴と症状

 非特定型末梢性T細胞リンパ腫は、ほかに分類されない病型の集合体のため、がん細胞の形や性質はさまざまです。リンパ節の腫れや発熱などの全身症状がみられます。

 血管免疫芽球型T細胞リンパ腫は、高齢者に多く、ほとんどの患者さんで全身のリンパ節の腫れ、肝臓や脾臓の腫れ、皮疹や発熱がみられます。また、感染症を合併していることが多いのも特徴です。

 ALK陽性未分化大細胞リンパ腫は、ALK融合遺伝子の検査で陽性と診断された未分化大細胞リンパ腫です。若い男性に多くリンパ節の腫れや発熱がみられますが、リンパ節以外の全身に病変が発生することもあります。

 ALK陰性未分化大細胞リンパ腫は、ALK陽性未分化大細胞リンパ腫とがん細胞の形や性質は同じですが、ALK融合遺伝子検査で陰性と診断された患者さんです。主な症状は、リンパ節の腫れや発熱などの全身症状で、リンパ節以外の全身に発生することもあります。

参参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版

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