治療
末梢性T細胞リンパ腫の治療
初発のALK陽性未分化大細胞リンパ腫の治療は、CHOP療法が推奨されます。CHOP療法は、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロンの4剤を併用する治療法です。病変が限局している患者さんでは、短期間のCHOP療法後に、治療開始前に病変が存在した部位に放射線を照射する「IFRT」という放射線治療の追加が考慮されます。
初発の非特定型末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫の標準治療は確立されていないため、過去の実績からCHOP療法などの多剤併用化学療法、もしくは臨床試験が推奨されます。化学療法で部分奏効が認められた患者さんで病変が限局している場合は、IFRTによる追加の治療が行われることもあります。
がん細胞に「CD30」という分子が発現している患者さんでは、抗CD30 抗体薬ブレンツキシマブ ベドチン(製品名:アドセトリス)を、シクロホスファミド、ドキソルビシン、プレドニゾロンと併用しての治療が検討されます。
ALK陽性未分化大細胞リンパ腫の一次治療で完全奏効が得られた患者さんでは、無治療経過観察が行われます。予後不良とされる非特定型末梢性T細胞リンパ腫、血管免疫芽球型T細胞リンパ腫、ALK陰性未分化大細胞リンパ腫で完全奏効が認められた患者さんは、自家造血幹細胞移植併用大量化学療法(HDC/AHSCT)が、臨床試験として考慮されます。この治療法は、米国造血細胞移植学会では推奨されています。

出典:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018. 第II章 リンパ腫、II リンパ腫、悪性リンパ腫 7 末梢性T細胞リンパ腫.アルゴリズムより作成
参考文献:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018.