相談:大腸がんの腹膜播種に対して、抗がん剤は効きますか?
71歳の父が、肝転移のあるS状結腸がんで、化学療法を受けています。告知当初は、「腫瘍が大きく手術はできない」と言われました。しかし、化学療法が効き、原発巣の切除手術ができると言われました。腫瘍マーカーのCEAは109→5に、CA19-9は75,000→488まで下がり続けています。
しかし、CT検査で腹膜播種の可能性を指摘され、PET-CT検査を受けることになりました。自分なりに調べたところ、腹膜播種に抗がん剤はあまり効果がないという情報を見つけました。人それぞれだと思いますが、このような場合でも抗がん剤の治療効果はあるのでしょうか?もし腹膜播種が見つかったとしても、腫瘍マーカーは下がるものなのでしょうか?
(家族、女性)
回答:同時に見つかった腹膜転移、転移の状態で切除手術の可能性も
大腸癌研究会の「大腸癌治療ガイドライン」によると、大腸がんの治療のポイントは以下の通りです。また、日本臨床検査医学会の「臨床検査のガイドライン2005/2006」から「腫瘍マーカーの見方」のポイントをご案内いたします。...
大腸がんの治療
大腸がんの化学療法は、薬剤の開発が進み、治療成績は大幅に向上しています。手術の対象とならない大腸がんでも、化学療法がよく効いた場合に、手術の可能性が生じることがあります。腹膜播種に対する治療選択は、以下の通りです。
・同時に見つかった腹膜転移は、P1、P2の場合は切除することが推奨されています
・P1とは、原発巣から近くの腹膜にのみ播種性転移がある場合です
・P2とは、原発巣から遠くの腹膜に少数の播種性転移がある場合です
・同時に見つかった腹膜播種を切除した後の再発に対する治療は、化学療法です
腫瘍マーカー
腫瘍マーカーは、がん細胞またはがんに対する体の反応によって作られ、血液や尿、組織などで増加している物質です。臓器別に有用とされる腫瘍マーカーは異なります。大腸がんと転移で有用とされる腫瘍マーカーは、以下の通りです。
・大腸がん:CEA
・リンパ節転移:CEA、CA19-9
・肝転移:CA19-9
・腹膜播種:CA125
CEAとCA19-9は大腸がん、リンパ節転移、肝転移に対し有用とされる腫瘍マーカーで、腹膜播種に有用とされるのはCA125です。
抗がん剤の治療効果、副作用、期間などは患者さん個別の病態や状態により異なります。今後の治療方針など担当医の先生とご相談なさってみてください。
参考文献
大腸癌治療ガイドライン医師用2019年版
http://www.jsccr.jp/guideline/2019/cq.html#cq7
日本臨床検査医学会 臨床検査のガイドライン2005/2006 腫瘍マーカーの見方
https://www.jslm.org/books/guideline/05_06/298.pdf
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