新しい分子標的をターゲットにした上皮がん治療薬の探索研究
2018/04/17
文:がん+編集部
肺がん、乳がん、大腸がん、子宮がん、卵巣がん、頭頚部がんなど上皮細胞から発生する上皮がんは、すべてのがんの約80%を占めています。株式会社SEEDSUPPLYと千葉大学が、上皮がんの治療薬開発のため、新しい分子標的をターゲットにした共同研究を始めました。新たな分子標的をターゲットとした薬剤の開発につながることが期待されます。
SEEDSUPPLYと千葉大学が共同研究契約を締結
株式会社SEEDSUPPLYと千葉大学は4月11日、新しい分子標的をターゲットにした上皮がん治療薬の探索研究に関する共同研究契約を締結したと発表しました。
今回の契約締結により、SEEDSUPPLYのバインダ・セレクション技術※を使用して新たな分子標的に結合する低分子化合物を早期に見つけて、その生物活性を千葉大学で検討することになるといます。お互いの強みを活かした新たな産学連携の形となることが期待されます。
多くの上皮がんの進展には、活性化したさまざまな種類の「NF-κB ダイマー」が関与することが知られています。しかし、NF-κB阻害剤でより効果の高い抗がん作用を示すものはないそうです。
千葉大学・真菌医学研究センターの伊庭英夫特任教授らの研究により、d4-familyというタンパク質に作用する低分子化合物を効率的に見つけることができれば、上皮がんに対する新たな分子標的をターゲットとした薬剤の開発につながると考えられるそうです。
SEEDSUPPLYは、このd4-familyタンパク質に結合活性を持つ低分子化合物を独自の技術によって探索します。千葉大学では、SEEDSUPPLYが探索した結合化合物のNF-κB阻害活性について調べ、抗がん活性などの評価を行うとしています。
※分子標的に結合する化合物を化合物ライブラリから選別する技術のことです。あらゆる分子標的を対象にできることが特徴です。