基礎知識

急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫の基礎知識をご紹介します。

急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫とは

 急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫は、リンパ系幹細胞が未熟な段階でがん化し、無制限に増殖することで発症します。がん細胞が主に骨髄中で増殖し、急性症状があらわれるものを「急性リンパ性白血病」といい、リンパ節などで増殖するものを「リンパ芽球性リンパ腫」といいます。また、骨髄中に白血病細胞が25%以上みられると急性リンパ性白血病、25%未満であればリンパ芽球性リンパ腫と診断されます。原因となる白血病細胞が同じため、治療法は同じです。また、がん化した細胞の種類によりB細胞系とT細胞系に分類されます。急性リンパ性白血病の約80~85%はB細胞系、リンパ芽球性リンパ腫の約85~90%はT細胞系ですが、治療法は同じです。

急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫の罹患率

 国立がん研究センターのがん統計2023年によると、2019年に新たに白血病と診断された人は、計1万4,318人でした。急性リンパ性白血病の発症率は、成人では年間約10万人に1人程度ですが、6歳以下の小児は、それより多い割合でみられます。リンパ芽球性リンパ腫は、年齢層にかかわらず発症しますが、成人の患者さんでは、青年期の男性に多い傾向があります。

 2009年~2011年にがんと診断された人の5年相対生存率(地域がん登録)は、64.1%で、白血病全体の5年相対生存率は44.0%でした。

※各がんのがん罹患率、生存率の最新情報は、がん情報サービス「がんの統計」をご参照ください。

急性リンパ性白血病/リンパ芽球性リンパ腫の症状

正常な血液細胞がつくられなくなるために起こる症状

 急性リンパ性白血病の主な症状は、白血病細胞が骨髄中で増加することにより、正常な血液細胞がつくられなくなるために起こる症状があります。赤血球が減少すると、貧血、息切れ、動悸、倦怠感などの症状が起こります。血小板が減少すると、あざ、赤い点状の出血斑、鼻血、歯ぐきからの出血などが起こります。白血球が減少すると、感染症にかかりやすくなる、発熱などの症状が起こります。

白血病細胞が臓器に浸潤することで起こる症状

 肝臓や脾臓に白血病細胞が浸潤すると、おなかの張りや腹痛などが起こります。骨に浸潤することで、腰痛や関節痛が起こることもあります。リンパ節への浸潤では、頸部リンパ節の腫れなどが起こります。中枢神経系に浸潤すると、頭痛や吐き気、嘔吐などの症状が起こります。急性リンパ性白血病では、脳や脊髄などの中枢神経系に浸潤が起こりやすいとされています。リンパ芽球性リンパ腫のうちB細胞系のタイプでは、左右の肺の間にある縦隔(じゅうかく)に腫瘤(しゅりゅう)ができることが多く、胸水が溜まることがあります。

参考文献:参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版

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