再発

急性骨髄性白血病の経過観察・検査・再発をご紹介します。

急性骨髄性白血病の治療後の経過観察と検査

 急性骨髄性白血病の治療により、骨髄中に白血病細胞が確認できなくなった状態を「寛解」といいます。寛解は、治癒や完治とは異なり、確認できない微量の白血病細胞が残っている可能性があるため、治療を続けなければ再発することがあります。寛解は、「完全寛解」「血液学的完全寛解」「分子学的完全寛解」の3つの状態があります。いずれも、まだ白血病細胞が残っている可能性がありますが、残っている可能性のある白血病細胞の数は、完全寛解、血液学的完全寛解、分子学的完全寛解の順で少なくなります。

完全寛解

 骨髄中の白血病細胞がほとんどなくなり、正常な血液をつくる機能が回復した状態です。

血液学的完全寛解

 骨髄中の白血病細胞は、顕微鏡検査でみることができなくなり、血液検査で、白血球、赤血球、血小板の数が正常範囲にあります。

分子学的完全寛解

白血病細胞がもつ遺伝子変異を調べる精密検査を行なっても、白血病細胞が見つからない状態です。

 治療後の寛解状態では経過観察とともに定期的な検査が行われます。病型、治療内容と効果、継続して行われる治療の有無、合併症、治療後の回復状態などにより検査の頻度は異なります。通常、最初は週単位で通院し、その後は月単位になっていきます。継続して治療を行う必要がなければ、3~6か月ごとに、再発を調べるための検査が行われます。

 主な検査は、診察、血液検査、尿検査のほか、超音波検査、X線検査、CT検査、MRI検査などの画像検査です。検査結果によっては、骨髄検査や骨シンチグラフィが行われます。

急性骨髄性白血病の再発と治療

 寛解あるいは治癒となった場合でも、再発や再燃をすることがあります。再びがん細胞が現れたり、別の場所に転移することを再発といいます。進行が止まっていたり落ち着いていたものが、再び進行することを再燃といいます。再発や再燃をした場合、患者さんの状況に応じて治療が選択されます。

 若年者の再発に対する治療は、シタラビン大量投与を主体とする救援化学療法により寛解導入を行った後、移植可能と判断された場合は同種造血幹細胞移植が推奨されています。強力化学療法が適応とならない患者さんに対しては、非強力化学療法もしくは緩和的支持療法が選択されます。

 遺伝子検査でFLT3遺伝子変異陽性と診断された再発患者さんでは、FLT3阻害薬による寛解導入療法後に、移植可能と判断された場合は同種造血幹細胞移植が推奨されています。

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版

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