基礎知識

慢性骨髄性白血病の基礎知識、罹患率、症状、原因などをご紹介します。

慢性骨髄性白血病の原因

 慢性骨髄性白血病は、血液の元となる骨髄系細胞ががん化し、無制限に増殖することでさまざまな症状が起こる病気です。白血球や血小板が増加しているものの自覚症状がない「慢性期」、顆粒球の分化異常が進行する「移行期」、未分化な芽球(がきゅう:幼若な形態の血液細胞)が増加し急性白血病に類似の「急性転化期」の3段階で進行していくのが特徴です。

慢性骨髄性白血病の罹患率

 国立がん研究センターのがん統計2023年によると、2019年に新たに白血病と診断された人は、計1万4,318人でした。慢性骨髄性白血病の罹患率は100万人あたり1~2人程度で、やや男性に多く、50~70歳での発症が多い傾向がありました。

 2009年~2011年にがんと診断された人の5年相対生存率(地域がん登録)は、64.1%で、白血病全体の5年相対生存率は44.0%でした。

※各がんのがん罹患率、生存率の最新情報は、がん情報サービス「がんの統計」をご参照ください。

慢性骨髄性白血病の症状

 慢性骨髄性白血病の慢性期では、白血球ががん化した白血病細胞が体内にあるものの、正常な白血球の働きを大きく邪魔するまでの数には満たないため、ほとんど自覚症状はありません。正しく分化できない顆粒球が増えてくる移行期になると、白血球や血小板の増加や、貧血症状があらわれます。異常な白血球の増加に伴い倦怠感、無気力、夜間の寝汗、体重減少、脾臓(ひぞう)の腫大によるおなかの張りなどの症状が起こります。

慢性骨髄性白血病の原因

 慢性骨髄性白血病の原因のほとんどは、「フィラデルフィア染色体」の発生です。フィラデルフィア染色体は、22番染色体と9番染色体の一部が切り離され、組み換わることで生じます。22番染色体に存在するBCR遺伝子と9番染色体に存在するABL遺伝子が、組み換わったことでつながったものをBCR-ABL融合遺伝子といい、白血病細胞を増殖させる原因となります。

フィアデルフィア染色体(Ph)とBCR-ABL融合遺伝子
フィアデルフィア染色体(Ph)とBCR-ABL融合遺伝子

参考文献:般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版
がん情報サービス.冊子「がんの統計」2023

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