治療
成人T細胞白血病・リンパ腫の治療
成人T細胞白血病・リンパ腫では、70歳未満と70歳以上で治療選択が異なります。また、「くすぶり型」「慢性型」「急性型」「リンパ腫型」の病型や予後不良因子により、治療が選択されます。
若年者70歳未満の治療選択
インドレントタイプの治療
成人T細胞白血病・リンパ腫の病型のうち、比較的病状の進行が緩やかな経過をたどる「インドレントタイプ」に分類される「くすぶり型」と「予後不良因子のない慢性型」では、化学療法を行わず、急性転化しなければ無治療経過観察が行われます。「くすぶり型」で皮膚症状がある場合は、局所治療が推奨されています。進行した場合は、化学療法(VCAP-AMP-VECP療法)が行われ、奏効が得られた場合は、55歳未満なら骨髄破壊的同種造血幹細胞移植が、55歳以上なら骨髄非破壊的同種同血幹細胞移植が推奨されています。
アグレッシブタイプの治療
急速に病状が進行する「アグレッシブタイプ」に分類される「予後不良因子のある慢性型」「急性型」「リンパ腫型」では、化学療法(VCAP-AMP-VECP療法)が推奨されています。VCAP-AMP-VECP療法は、VCAP「ビンクリスチン+シクロホスファミド+ドキソルビシン+プレドニゾロン」、AMP「ドキソルビジン+ラニムスチン+プレドニゾロン」、VECP「ビンデシン+エトポシド+カルボプラチン+プレドニゾロン」を併用した化学療法です。抗CCR4抗体薬「モガムリズマブ」をVCAP-AMP-VECP療法と併用することで、効果が高まりますが、副作用も強くなるため注意が必要です。
化学療法により、奏効が得られた場合は、55歳未満なら骨髄破壊的同種造血幹細胞移植が、55歳以上なら骨髄非破壊的同種同血幹細胞移植が推奨されています。
奏効が得られなかった患者さんに対しては、救援化学療法、救援分子標的療法、同種造血幹細胞移植、緩和的放射線治療、緩和ケアのいずれかが選択されます。
高齢者70歳以上の治療選択
高齢者(70歳以上)の患者さんで全身状態が比較的良好な場合は、若年者(70歳未満)と同様ですが、それ以外の患者さんに対しては、治療強度の減弱が行われます。
化学療法により完全奏効が得られた場合は、経過観察となります。完全奏効が得られなかった場合は、救援化学療法、救援分子標的療法、同種造血幹細胞移植、緩和的放射線治療、緩和ケアのいずれかが選択されます。
参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版