治療

濾胞性リンパ腫の治療

 濾胞性リンパ腫は、病状の進行がゆっくりしているため診断後すぐに治療を開始せず、無治療で経過観察が行われる場合もあります。治療開始のタイミングは、「GELF」と「BNLI」の2つの基準を参考に、医師が決めます。

GELF高腫瘍量の基準

1リンパ節、リンパ節節外にかかわらず病変の最大長径≧7cm
2長径3cm以上の腫大リンパ節領域が3つ以上
3全身症状(発熱、体重の減少、顕著な寝汗)
4下縁が臍線より下の脾腫(CT上≧16cm)
5胸水または腹水貯留(胸水・腹水中のリンパ腫細胞浸潤の有無にかかわらず)
6局所(硬膜、尿管、眼窩、胃腸などの)の圧迫症状
7白血化(リンパ腫細胞>5,000/μL)
8骨髄機能障害(Hb<10g/dL、好中球<1,000/μL、血小板<10万/μL)

BNLI治療開始基準

1発熱、体重の減少、顕著な寝汗または高度の搔痒症
2急激な全身への病勢進行
3骨髄機能障害(Hb≦10g/dL、白血球<3,000/μL、または血小板<10万/μL)
4生命を脅かす臓器浸潤
5腎臓への浸潤
6骨病変
7肝臓への浸潤

出典:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018. 第II章 リンパ腫、II リンパ腫、悪性リンパ腫 濾胞性リンパ腫 総論より作成

初発濾胞性リンパ腫の治療選択

 ステージ1またはステージ1に近いステージ2の場合は、放射線治療により治癒が期待できる患者さんもいるため、放射線療法(線量:24~30Gy)が推奨されます。放射線治療のリスクが高い場合は、進行期に準じた治療が推奨されます。

 ステージ3またはステージ4の進行期で腫瘍量が少ない患者さんでは、無治療経過観察(診断後すぐに治療を開始せず、全身症状、臓器圧迫症状、血球減少などがあらわれてから治療を開始する)、もしくはリツキシマブ単剤療法が選択されます。腫瘍量が多い場合は、抗CD20抗体薬という種類の薬であるリツキシマブまたはオビヌツズマブを併用した化学療法が推奨されます。また、リツキシマブ併用化学療法が有効だった患者さんでは、維持療法としてリツキシマブが検討されます。

推奨される主な治療法は、以下の通りです。

R-CVP療法:リツキシマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン
R-CHOP療法:リツキシマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン
BR療法:ベンダムスチン、リツキシマブ
G-CVP療法:オビヌツズマブ、シクロホスファミド、ビンクリスチン、プレドニゾロン
G-CHOP療法:オビヌツズマブ、シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン
GB療法:オビヌツズマブ、ベンダムスチン

初発濾胞性リンパ腫の治療選択
初発濾胞性リンパ腫の治療選択
出典:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018. 第II章 リンパ腫、II リンパ腫、悪性リンパ腫 濾胞性リンパ腫 アルゴリズムより作成

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018.

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