再発

濾胞性リンパ腫の再発

 進行期の濾胞性リンパ腫は、初回治療後に完全奏効になった場合でも、多くの患者さんで再発します。再発したときは、初回治療の内容と再発までの期間、病変の広がり、がん細胞の組織の転換などを考慮して治療選択が行われます。

主な治療選択は、以下の通りです。

1:無治療経過観察
2:リツキシマブ単剤療法
3:ベンダムスチン単剤あるいはリツキシマブまたはオビヌツズマブ+ベンダムスチン
4:フルダラビン単剤あるいはフルダラビンを含む多剤併用療法
5:R-CHOP療法またはG-CHOP療法(先行治療がアントラサイクリンを含まない場合)
6:多剤併用化学療法
7:放射線療法
8:RI標識抗体療法(イブリツモマブ チウキセタン)

 リツキシマブ治療の効果が得られる患者さんに対しては、リツキシマブ単剤、またはリツキシマブ併用化学療法が推奨されます。リツキシマブによる治療で部分奏効も得られなかった場合や、半年以内に再燃した場合は、リツキシマブに対する治療抵抗性と判断されます。リツキシマブ抵抗性の患者さんを対象に、ベンダムスチン単剤とGB療法(オビヌツズマブ、ベンダムスチン)を比較した臨床試験では、GB療法の患者さんで無増悪生存率および全生存率の改善が認められたという報告があります。また、初回治療でリツキシマブなど抗CD20 抗体薬併用化学療法による治療の奏効期間が短かった若年者の患者さんに対しては、自家移植併用大量化学療法も治療選択として検討されます。高リスクまたは自家移植後に再発をした若年者の患者さんでは、同種造血幹細胞移植も治療選択として考慮されます。

 濾胞性リンパ腫の約2%の患者さんではがん細胞の形質転換が認められ、予後不良とされます。未治療もしくはアントラサイクリン系の薬剤による治療歴がない患者さんには、R-CHOP療法が推奨されます。R-CHOP療法後に形質転換した患者さんで、化学療法で奏効が得られた若年者は、自家移植併用の大量化学療法が推奨されます。

※:白血球の型が一致したドナーから採取された正常な骨髄を患者さんに移植して、血液の元となる骨髄を正常なものに入れ替える治療法

再発濾胞性リンパ腫の治療選択
再発濾胞性リンパ腫の治療選択
出典:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018. 第II章 リンパ腫、II リンパ腫、悪性リンパ腫 濾胞性リンパ腫 アルゴリズムより作成

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版、2018.
ESMO/ACF 患者さんの手引きシリーズESMO診療ガイドラインに基づく”濾胞性リンパ腫:患者さんの手引き”.2016.
Cheson BD, et al. Overall Survival Benefit in Patients With Rituximab-Refractory Indolent Non-Hodgkin Lymphoma Who Received Obinutuzumab Plus Bendamustine Induction and Obinutuzumab Maintenance in the GADOLIN Study. J Clin Oncol. 2018 ; 36 (22) : 2259-66. (1iiA)

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