相談:乳がんの術後薬物療法、受けた方が良いのでしょうか?

化学療法 治療選択

乳がんと診断され、手術を受けました。術後、点滴による抗がん剤治療と放射線治療を受け、今月全て無事終えました。体調は安定し、これから仕事を増やそうと思った矢先に、次は内服による抗がん剤治療を勧められました。術後に受けた点滴による抗がん剤治療で副作用があったため、可能なら抗がん剤治療は断わりたいと思っていますが、治療は受けた方が良いのでしょうか?

(本人、女性)

回答:術後薬物療法、再発リスクと抗がん剤感受性を考慮して決定

日本乳癌学会の「乳癌診療ガイドライン2022年版」と、がんプラス掲載記事からポイントをご案内します。

早期乳がんに対する周術期薬物療法の意義
・手術が決定し、外来から入院、麻酔・手術、術後回復、退院・社会復帰まで、手術中だけでなく、その前後を含めた一連の期間のことを「周術期」といいます
・周術期に行う薬物療法は、潜在的な「微小転移」を根絶し、制御することで、治癒およびより長い生存期間を目指す目的で行われます
・術後薬物療法は、「ホルモン受容体」「HER2」「Ki67(がん細胞の増殖スピードを示す指標)」「BRCA遺伝子」「PD-L1の発現」など治療効果予測因子を調べて、必要に応じて行われます

乳がんのサブタイプ分類
・乳がんのサブタイプ分類は、「エストロゲン受容体(ER)」「プロゲステロン受容体(PgR)」「HER2」「Ki67」の4つの要素で分類されます

ルミナルA型:ER陽性・PgR陽性・HER2陰性・Ki67低
ルミナルB型(HER2陰性):ER陽性または陰性・PgR弱陽性または陰性・HER2陰性・Ki67高
ルミナルB型(HER2陽性):ER陽性・PgR陽性または陰性・HER2陽性・Ki67低~高 HER2型:ER陰性・PgR陰性・HER2陽性
トリプルネガティブ:ER陰性・PgR陰性・HER2陰性

乳がんのサブタイプ別治療
ルミナルA型:ホルモン療法
ルミナルB型(HER2陰性):ホルモン療法、化学療法
ルミナルB型(HER2陽性):ホルモン療法、化学療法、抗HER2療法
HER2型:化学療法、抗HER2療法
トリプルネガティブ:化学療法

術後薬物療法は、再発リスクと抗がん剤感受性を考慮して決定されます。...

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