相談:早期の肺がん治療、手術と放射線のどちらがよいのか

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14年前、悪性リンパ腫(濾胞性リンパ腫)と診断され、治療を受けました。14年間再発せずに経過観察を行っていましたが、2年前にCT検査で肺にすりガラス状の影が見つかり、非小細胞肺がんのステージ1b期と診断されました。 経過観察を行っていましたが、昨年の検査では28ミリ、現在、影の大きさは32ミリです。担当医からは、「右肺S3胸膜下の結節が気になる」といわれ、手術による右肺上葉摘出を提案されています。自分の希望は、陽子線治療で右肺S1の病変をとり、その後の経過観察から、変化があれば、手術もやむをえないと思っています。担当医は、「陽子線治療が希望なら紹介状は書く」とは言ってくれていますが、一方で手術を薦められ、迷っています。

(本人、女性)

回答:まず外科手術が推奨、患者さんの状態や希望により放射線治療も選択肢として推奨

肺癌診療ガイドライン2019年版によると、早期の非小細胞肺がんに対する外科手術と放射線治療の選択に関しては以下のように書いてあります。

同一肺葉内で多発肺がんをの疑いがあり、リンパ節転移のない場合は、正確な診断のためにも手術が推奨されます。...
また、多発がんとの鑑別が困難なこともあり、リンパ節転移がないときも手術が推奨されます。エビデンスレベルはとても弱いですが、肺がん診療ガイドラインでは手術を100%推奨しています。

肺葉切除が可能なステージ1~2期の非小細胞肺がんに対して、根治的放射線治療(主にSBRT)と肺葉切除をランダムに比較した臨床試験は報告されていません。完遂できなかったランダム化比較試験の統合解析や傾向スコアを用いたSBRTと肺葉切除との比較が報告されていますが、一定の見解には至っていません。標準治療が肺葉切除であることを十分に理解しした上で、手術を希望しない場合には、その根治療法として放射線治療が選択肢となることもあります。エビデンスレベルはとても弱いですが、肺癌診療ガイドラインでは、「行うことを推奨」が83%、「行うことを弱く推奨(提案)」が18%です。

がんプラスに、早期肺がんに対する手術と放射線治療(SBRT)のメリットとデメリットについて触れている記事がありますので、一部内容を紹介します。(詳しくは、下記参考文献をご参照ください。)

体幹部定位放射線療法(SBRT)のメリットは、治療中、治療後に患者さんが現在の生活をおおむね維持できることです。デメリットは、再発率も含め、手術に比べると歴史が浅いので、データが必ずしも出そろってないため、まだわからない部分もあることです。

医学的根拠に基づいた現在の標準治療は、外科手術がまず推奨され、患者さんの状態や希望により、放射線治療も選択肢として推奨されています。また、陽子線治療に関しては、現在、保険適用とはなっておらず、先進医療として行われています。そのため、陽子線治療にかかわる治療費は、全額自己負担となります。担当医とあらためて、ご相談なさってみてはいかがでしょうか。

参考文献

肺癌診療ガイドライン2019年版 非小細胞肺癌外科治療
https://www.haigan.gr.jp/guideline/2019/1/2/190102010100.html

肺癌診療ガイドライン2019年版 Ⅰ-Ⅱ期非小細胞肺癌の放射線療法
https://www.haigan.gr.jp/guideline/2019/1/2/190102050100.html

がんプラス「早期非小細胞肺がん治療に「体幹部定位放射線療法(SBRT)」という選択肢」
https://cancer.qlife.jp/lung/lung_feature/article5506.html

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