基礎知識

慢性リンパ性白血病の罹患率、症状、原因など基礎知識をご紹介します。

慢性リンパ性白血病とは

 慢性リンパ性白血病は、白血球の一種であるリンパ球のうち、小型の成熟B細胞が、がん化して無制限に増殖する病気です。血液中のがん化したリンパ球の数が5,000/μL以上である場合、あるいは5,000/μL未満でも白血病細胞が骨髄に浸潤し、正常な血液細胞(赤血球・白血球・血小板)の減少が認められる場合に、この病気であると診断されます。がん化した小型B細胞は、表面に「CD5」「CD23」という分子が発現しているのが特徴で、血液中、骨髄、脾臓(ひぞう)、肝臓、リンパ節などで増殖します。

慢性リンパ性白血病の罹患率

 国立がん研究センターのがん統計2023年によると、2019年に新たに白血病と診断された人は、計1万4,318人でした。このうち、慢性リンパ性白血病は、年間10万人あたり0.3人で、日本人の発生頻度は多くありません。50歳以降で多く、30歳未満ではほとんどみられず、女性より1.5倍~2倍程度男性が多い傾向がありました。

 2009年~2011年にがんと診断された人の5年相対生存率(地域がん登録)は、64.1%で、白血病全体の5年相対生存率は44.0%でした。

※各がんのがん罹患率、生存率の最新情報は、がん情報サービス「がんの統計」をご参照ください。

慢性リンパ性白血の症状

 慢性リンパ性白血病は、ゆっくりと進行するため初期には症状がほとんどありません。自覚症状は、倦怠感、食欲不振、寝汗を伴う微熱、体重減少、脾臓(ひぞう)や肝臓の腫大(しゅだい)などです。また、発熱や肺炎などの感染症があらわれることもあります。リンパ節の腫れや、首やわきの下、足の付け根などのリンパ節が多い部位に痛みのないしこりができ、縮小せずにゆっくりと持続的に増大していきます。骨髄中に白血病細胞が増えてくると、正常な血液細胞(赤血球、血小板)が減少することで、貧血や出血が起こりやすくなります。また、慢性リンパ性白血病では、赤血球に対する自己抗体ができることがあり、こうした状態になると赤血球が破壊され、極めて重度な貧血症状が起こります。

慢性リンパ性白血病の原因

 慢性リンパ性白血病の原因は、まだはっきりとわかっていません。しかし、日本では10万人あたり0.3人とまれですが、北米や欧州では白血病のうち最も多く見られるのがこの病気であるため、何らかの遺伝的な要因が関連している可能性が考えられています。

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. 造血器腫瘍診療ガイドライン 2023年版.金原出版
がん情報サービス.冊子「がんの統計」2023

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