治療

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の化学療法、分子標的薬、造血幹細胞移植、支持療法など治療法に関してご紹介します。

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の化学療法

 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の化学療法は、70歳未満、もしくは全身状態が良く合併症や持病がない場合は、通常量のフルダラビンとシクロホスファミドを併用するFC療法に分子標的薬のリツキシマブを追加した多剤併用療法が標準治療です。また、ベンダムスチン±リツキシマブ併用療法が選択されることもあります。

 通常用量を投与する標準治療が実施困難と判定された場合は、ベンダムスチン±リツキシマブ併用療法、フルダラビン±リツキシマブ併用療法、減量FC療法±リツキシマブ併用療法、減量フルダラビン±リツキシマブ併用療法、シクロホスファミド±リツキシマブ併用療法、クロラムブシル(国内未承認)±リツキシマブ併用療法から選択されます。

 多剤併用療法により大量の抗がん剤が投与されるので、治療開始から数か月にわたりさまざまな副作用が起こります。治療を継続するため、起こる可能性のある副作用を知り、早期に対処することが大切です。

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の分子標的薬

 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫で使われる主な分子標的薬は、リツキシマブです。抗がん剤と併用して使われます。リツキシマブは、「CD20」という分子と選択的に結合する分子標的薬です。B細胞の表面に多く発現しているCD20は、細胞の活性や増殖にかかわります。リツキシマブはこのCD20をはたらかなくすることで、がん細胞の活性や増殖を抑制します。リツキシマブが効かなくなり、再発や難治性となった場合は、同じCD20を標的とするオファツムマブを使用することで、効果が得られる可能性があります。また、染色体17p欠失がある場合は、CD52を標的としたアレムツズマブという分子標的薬が使われます。初回治療や二次治療時に、染色体17p欠失やTP53遺伝子異常などが認められる場合は、抗がん剤のフルダラビンなどに治療抵抗性があるため、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)阻害薬のイブルチニブが使われます。イブルチニブは、BTKを選択的に阻害する分子標的薬です。BTKは、細胞の表面から細胞の核内遺伝子へ増殖シグナルを伝達することで、がん細胞の増殖と生存を促進する酵素です。イブルチニブは、このBTKを阻害することでがん細胞の増殖を抑制します。

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の造血幹細胞移植

 慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫に対する造血幹細胞移植は、大量化学療法や放射線治療により、白血病細胞も含めて骨髄細胞を除去した後、白血球の型が一致したドナーから採取された正常な骨髄を患者さんの静脈から移入して、血液の元となる骨髄を正常なものと入れ替える治療法(同種移植)です。染色体17p欠失などの予後不良因子がある場合や再発・難治性になった場合などに長期予後の改善を目的に検討されます。初回治療に引き続いて同種移植が行われる際には、染色体17p欠失の細胞割合や、その他の移植リスクが慎重に判断されます。

慢性リンパ性白血病/小リンパ球性リンパ腫の支持療法

 支持療法は、白血病細胞を攻撃するための治療ではなく、治療中に起こるさまざまな症状や合併症に対して、症状を和らげたり予防したりすることを目的として行われる治療法です。白血病では、白血球の減少により、感染症にかかりやすくなるため、細菌やウイルスが感染しやすい口腔や気道などのケアが大切です。また感染症予防のために抗生物質や抗ウイルス薬、抗真菌薬などが投与されることもあります。貧血症状や出血症状には赤血球や血小板などの輸血が行われます。化学療法や放射線治療にともなう吐き気などの副作用に対しては、制吐剤での対処がされます。こうした治療は、生活の質(QOL)を維持するだけではなく、がんの治療を継続するためにも重要な治療です。

参考文献:一般社団法人日本血液学会編. ”造血器腫瘍診療ガイドライン 2018年版”.金原出版,2018. 第I章 白血病、I 白血病、5慢性リンパ性白血病

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