相談:原発巣を特定するための検査方法はありますか?

検査 転移

家族が大腸がんの治療中で、肝臓への転移は縮小、骨盤に播種性の腫瘍がありますが、こちらはよくも悪くもなっていません。過去に子宮頸がん、卵巣がんの治療もしていました。骨盤にある腫瘍は、卵巣がんの転移なのか、大腸がんの転移なのか生検でもはっきりとわかりません。原発をはっきりとさせる検査は、ないのでしょうか。

(家族、男性)

回答:原発不明がんは、1つの検査だけではなく複数の検査で総合的に判断

原発不明がんに関して、国立がん研究センターが運営するウェブサイトに掲載されている情報から、ポイントをご案内します。

・原発巣が不明な場合、腫瘍マーカーを含む血液生化学検査や尿検査、超音波、胸部X線、胸腹部骨盤CTやMRIなどの画像検査、必要に応じて乳房・婦人科・泌尿器科領域の診察や直腸診、内視鏡検査、FDG-PET/CT検査などが行われます
・原発巣の手がかりを見つけるために、症状の発生から受診時点までの経過、体の症状、患者さん本人とご家族の既往歴などの問診、体の診察などが行われます
・胚細胞腫瘍、甲状腺がん、前立腺がん、卵巣がんでは腫瘍マーカーによる検査が有用です
・胚細胞腫瘍ではAFPやβ-hCG、前立腺がんではPSA、卵巣がんではCA125、甲状腺がんではTgが検出されます
・病理診断や原発巣のスクリーニングで、原発巣のあるがんや特定の疾患を除外したうえで、十分な検査でも原発巣や特定の疾患と診断ができない場合に原発不明がんと診断されます

十分な検査をしても原発巣が不明なことがありますが、特定の治療方法をとる可能性のある原発不明がんもあります。...


また、「MASTER KEYプロジェクト」という、希少がんの研究開発およびゲノム医療を推進する製薬会社などとタイアップした産学共同のプロジェクトが行われています。このプロジェクトは、「レジストリ研究」と「治験(副試験)」の2つのパートに分かれています。レジストリ研究では、一般的に希少がんと呼ばれるがんの患者さん以外にも参加の門戸を開いており、希少がんと同様に発症数の少ない原発不明がんも対象となります。

参考情報:
国立がん研究センター希少がんセンター 原発不明がん
https://www.ncc.go.jp/jp/rcc/about/primary_unknow_malignancies/index.html

がんプラス 希少がん治療、がん種から遺伝子へ―希少がん患者と治験をつなげるMASTER KEYプロジェクトとは
https://cancer.qlife.jp/series/as005/article8890.html

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