免疫チェックポイント阻害薬の併用療法、米で大腸がんの適応追加承認

2018/07/19

文:がん+編集部

 オプジーボと低用量のヤーボイ併用療法が、フルオロピリミジン・オキサリプラチン・イリノテカンによる治療後に病勢進行した、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移性大腸がんの適応追加の承認をアメリカで取得しました。日本での承認が期待されます。

オプジーボと低用量のヤーボイ併用療法

 米ブリストル・マイヤーズ スクイブ社は7月11日、免疫チェックポイント阻害薬ニボルマブ(製品名:オプジーボ)と低用量のイピリムマブ(製品名:ヤーボイ)の併用療法について、フルオロピリミジン・オキサリプラチン・イリノテカンによる治療後に病勢進行した、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)またはDNAミスマッチ修復機構欠損(dMMR)の転移性大腸がんの成人患者さんと12歳以上の小児患者さんの治療薬として、米国食品医薬品局(FDA)の承認を取得したことを発表しました。

 dMMRは、DNAの複製時のミスを修復するタンパクが欠損または機能していない場合に生じ、高頻度マイクロサテライト不安定性(MSI-H)の腫瘍が発生する原因となります。MSI-Hは、傷ついた遺伝子の修復機能の異常を示すバイオマーカーとされています。DNAの複製ミスが発生した場合、ミスを修復する機能が低下することで、DNAの繰り返し配列(マイクロサテライト)が正常な細胞と異なる状態になっていることをマイクロサテライト不安定性(MSI)といいます。転移性大腸がん患者さんの約5%に、dMMRまたはMSI-Hの腫瘍があるといわれています。

 今回の承認はCheckMate-142試験という臨床試験の結果をもとに行われました。この試験の結果、フルオロピリミジン・オキサリプラチン・イリノテカンによる治療歴がある患者さん82例で、ニボルマブとイピリムマブ併用療法の奏効率※1は46%だったそうです。また、患者さんの2%以上で最も頻繁に報告された重篤な副作用は、大腸炎/下痢、肝臓系事象、腹痛、急性腎障害、発熱、脱水症でした。最も多く報告された副作用は、疲労、下痢、発熱、筋骨格痛、腹痛、そう痒症、悪心、発疹、食欲減退、嘔吐でした。

 ニボルマブとイピリムマブ併用療法は、アメリカにおいて、未治療の中および高リスクの進行腎細胞がん、切除不能または転移性悪性黒色腫の治療薬として承認されています。日本での承認にも期待が寄せられます。

※1 治療によって、がんが消失または30%以上小さくなった患者さんの割合のことです。完全奏効(CR)(腫瘍が完全に消失)と、部分奏効(PR)(腫瘍が30%以上小さくなる)を足して、治療患者の総数で割ったものです。