放射線医は「がんをがんとしてみるスペシャリスト」永田靖先生インタビュー
本記事は、株式会社法研が2012年3月24日に発行した「名医が語る最新・最良の治療 肺がん」より許諾を得て転載しています。
肺がんの治療に関する最新情報は、「肺がんを知る」をご参照ください。
「安心」と「楽しい気持ち」、「笑顔」を基本にして、自分の受けたい医療のできるがんのスペシャリストをめざす。
市民向けの講演会のスライドに「私は京都生まれ、関西弁はそのためです」と明記する永田先生。京都から広島に来て4年、今も関西弁は健在です。ことばは国の手形といいますが、関西弁は、故郷を示すというより、永田先生そのもののトレードマークといえるようです。持ち前のサービス精神で、患者さんとの診察の間も「笑ってもらわんと」と、つい「一生懸命」冗談を考えてしまうそうです。「同じ治療するなら楽しいほうがええやろ」という永田先生の笑顔は底抜けに明るく、知らず知らずのうちにこちらも笑顔になっています。診療にあたって心がけているのは「自分が受けたいような治療をするこっちゃわ、それに尽きますわ」。患者さんの体調、顔色、価値観を思い、治療に臨む。医療には「マンツーマンの人間性が大切」といいます。
生来「負けん気」が強いという永田先生が医師の道を選んだのは、当時、不治の病であった「がん」に挑戦したいという思い。「それに、『巨人の星』の飛雄馬(ひゅうま)の恋人、美奈(みな)さんががんだったからなぁ、医者になって治したれ」と思ったとか。ここでも「落ち」を忘れません。しかし、まっすぐで一本気、目標を定めたら「ベストを尽くす」という永田先生の真摯(しんし)さは伝わってきます。
広島大学病院 放射線治療科教授
1958年京都生まれ。82年京都大学医学部卒業。同大附属病院放射線科、北野病院放射線科などを経て、2008年より現職。広島県における高精度放射線センター構想を進めるほか、数多くの臨床試験に参加。質の高い放射線療法の開発と実践に取り組んでいる。